コンクリートジャングルにも夏がきた

結婚を機に引っ越した街は、コンクリートで囲まれた近代的な街です。ビルビルビル…その間を縫うように舗装された道…。
自然もあるけど、ほとんどが人工的に作られた歩道に植えられた植物や計画てに育てられた芝生。

本当の自然を味わえないというさみしさはありますが、人工的に植えられているからこそ、四季が味わえるように工夫されているようで、私は少ない自然でも季節を楽しんでいます。

自然が味わえない分、街には清潔な道や便利なショッピングモールが溢れ、治安もすこぶる良いため、私はこの街がとても好きです。夫とはじめて暮らした街であるという思い出ものっかって、きっとずっと、忘れられない街と家になると思います。

今日は気温が低くて過ごしやすかったので、広場にあるちょっとしたベンチに座って、行き交う人々を眺めて過ごしました。こんな時間が豊かであるのも、お気に入りの街に住んでいるからこそ。

さて四季の話しに戻りますが、私が住むコンクリートジャングルのような街にも、先日、明確に夏の知らせが届きました。もちろんそのずっと前から、強い太陽の日差し、30度以上になる温度や高い湿度、食卓の冷やし中華・アイスコーヒーの消費量の増加など、いろいろなサインが、私に今年も夏がきたことを伝えていました。

でも忘れもしない7月24日の午後14時ごろ、開けていた窓の外から、急にセミが鳴きだしたのです。私は思わずその大きな音にびっくりして、窓に近寄りました。ベランダにセミがきたのではないかと思うほど、大きな音だったからです。その瞬間「ああ、夏がきたのだなあ」と、私ははじめて強く夏を意識しました。

結局ベランダにはセミの姿はなく、きっと近くの木もしくは建物の壁にくっついてセミが鳴いていたのだろうと思います。

実家は東京の郊外なので、気付いたときにはもっと強い、複数のセミの声がこだましていましたし、一人暮らしをしてからは、忙しく仕事をしていたのでセミの声に改めて耳を傾けることはありませんでした。

30年近く日本で暮らして、最初に鳴きだすセミの声を聞いた瞬間を、ここまで明確に捉えられたのは、はじめての経験です。コロナウィルスの影響による外出自粛でずっと家にこもっているからこそ、そのわずかな変化に出会えたのかもしれません。またコンクリートに囲まれた限られた自然で起こった生命の営みだからこそ、こんなにも、私に強い印象を残してくれたのかもしれません。

長かった梅雨の終わりがすぐそこに見える今日この頃。この街にも、ついに夏がやってきました。ひとりで過ごすステイホームの夏。さみしくないといえば嘘になりますが、お気に入りの街で、心地よいお家で、小さな変化に気付ける日々を大切に過ごしたいと思っています。